物に込められた気持ち、物から感じる気持ち

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おもちゃメカっぽい物はその時の自分に合ってなくても無性に欲しくなる時がある。そのモチベーションを辿って心に刻まれているものが有るとすれば思い出す一番古くて、タカラの透明変身サイボーグとミクロマン。特にミクロマンのカッコよさは、幼い頃良く遊んだ怪獣のソフト人形には無かった、デザインとディテールとキャラクターがあった。もちろん当時はそんな分析なんてしてなくて、このものすごく上がるモチベーションは何なんだろうと戸惑いながら、高いのでそんなに買えず、いつも頭の中でイメージしていたような気がする。その後、Y.M.O.が登場した時、ミクロマンのカッコよさは飲み込まれ自分の頭の中のかっこいい順番が変わった。その二つをつなげた物は未来やスタイリッシュな都市生活、ブランド感だったんだろうなと思う。それから後はそれを上回る心の第一位は生まれなかった。しかし、何故か今でもオシャレなメカおもちゃの部類に出会うと、すごくかっこよく思えて、妻の静止が無ければ、思わず購入してしまいそうになる。

そこで初めて買った腕時計を思い出してみると、やはりスウォッチだった。ミクロマンが1974年、Y.M.O.が1978年、スウォッチが1983年創業となると、Y.M.O.以降、その衝動で買い求めたものである事は間違いない。スウォッチは実につい最近までその一つしか購入した事がなかった。ダイヤルは磨きゴールドで曇ったブルーグリーンの龍が描かれていた。フレームもベルトも同じブルーグリーンで、当時大学生で、パンクニューウェーブ系のバンドをやっていた自分の流れからすると、特に外したという事ではなく、ファッションの一部であったのだろう。因みにいくらネットで検索してもでて来ないので皆さんにお見せすることは出来ないのですが当時ミステリアスなチャイニーズ風や、キッチュなアジアはトレンドでもあったので、その事が影響しているのかも知れません。その後、社会人になった後はアンティークウォッチを身につける事が多くなります。スウォッチに久しぶりに出会ったのは2013?2014?あたりのbasel world(スイス、バーゼルで行われる高級腕時計の見本市)スウォッチグループの展示でスウォッチの歴史展示があったときに一堂に並んだスウォッチに目と心を奪われ、みいった記憶があります。ただ、心の中の順位が入れ替わった後のスウォッチを再度身につける気にはならなかったのが正直な気持ちでした。そして、何故が自分の中で、スウォッチをもう一度購入する気分にさせたのはChrono24という売買サイトでヴィンテージスウォッチというジャンルに気がついた事でした。前出のおしゃれなおもちゃメカな上に時代感を出したデザインは、昔古着派だった自分心に、もう一度デッドストックのスウォッチを見直すきっかけを与えてくれました。今、三本の昔のスウォッチを購入し、どれをつけてみようか?と考え中。時代とのズレ感を楽しめるヴィンテージスウォッチ、おすすめです!

そして話は急に切り替わりますが、前回ご紹介したオラファー・エリアソンの東京都現代美術館の展示『時には川は橋となる』見に行って来ました。平日の閉館前に滑り込み比較的空いた会場でゆっくり観ることが出来ました。オラファーのとても洗練された現代的解釈によるインスタレーションは全世界の社会的課題をテーマにした完成度の高い仕上がりでしたが、私には少し喉越しが良すぎて、課題よりは美しさに感度が奪われてしまい、最後の部屋で紹介されていた、彼の初期の作品の洗練される一歩手前の作品群に共感しました。マーケティングが難しい時代だと言われますが、素直に課題に向き合う瞬間の人の行為や活動はとても刺激的で、効果的に人に伝わるように感じます。みなさんも感度を集中させていろんな物を見てみてください。そこに隠された色んな素直な気持ちを見つける事が出来るかもしれません。ヴィンテージスウォッチにも、確かにそれはあるような気がします。

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上垣内さん.jpg上垣内 泰輔

商業施設・展示施設の内装・展示物等の製作を行う日本屈指の会社株式会社 丹青社 のデザインセンター所属のプリンシパルクリエイティブディレクター。1988年入社。数々のインテリアデザインを担当。アパレルショップ開発やバーゼルワールドでのパビリオンデザインを手掛ける。ドイツADAM賞など、数多くのアワードを受賞し、現在ではリテール、ホスピタリティ、エキシビジョン、オフィスなど、様々な分野にて横断的にディレクションを行っている。