『自分ローカル』 ~ AURALEEのコート

新型コロナウィルス感染拡大の前ですが、最近購入したお気に入り『AURALEE(オーラリー)』の春物コート(※写真1)。 オーバーサイズのステンカラーコートで形的にはなんの変哲もないシンプルなコートなのですが、アイアングレーに鮮やかなピンクオレンジがグラデーションで染められています。 その名もサンセットブラック。 夕焼けの夜空の黒という名前です。 デザイナーという職業柄、クライアントにあまり先入観を持たれない様にいつもは地味めの洋服を着る事が多い自分ですが、何故かこのコートに惹かれて購入、よく着て出かけます。しくじると暴走族との関係を疑われてしまうかも知れませんが、街中でこれを着た時の浮き具合がなんとも抜群なのです。。

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写真1:筆者近影(オーラリー着用)

暴走族と言えば、去年アート展示ウィークANY TOKYOで見た「工藝族車」(※写真2・3)を思い出します。 工藝と族車、社会的評価に大きな隔たりがあるこの二つのアイテムを、工芸家と族車ビルダーが鍛金の技術を使って芸術にまで作り上げるというプロジェクト。 カウンターカルチャーの殆どが外国の物真似である現代の日本では、この少し前の暴走族文化はオリジナリティの塊。 けれどかっこ良く皆が取り入れられるというテイストでもない。。 

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写真2:ANY TOKYO2019

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写真3:工藝族車

そう、かっこよく暴走族テイストを取り入れた感じなんです、このコート。 さすがAURALEE、コンサバに見えて相当なひねりが効いています。 「コンサバ精神の裏には必ずキワモノが潜んでいるんだ」と言わんばかりです。 クレージーローカルが僕はとても大好きで、音楽アーチストで言えばアフリカ、コンゴのkonono.no1(コノノナンバーワン ;親指ピアノいわゆるカリンバにアンプを繋ぎ轟音を鳴らすグループ)、タイ・イサーン音楽のMonaural mini plug(モノラルミニプラグ:※写真4 :ピンプラユックというローカルダンスミュージックを演奏するグループ)、民謡とアフロキューバンが合わさった民謡ダンスミュージック民謡クルセーダーズ(※写真5)。 洋服で言えば、クレージー50'sのwacko maria。(ワコマリア)。 一点の曇りもないモチベーションとてらいの無いストレートで爽やかな表現。 勘違いしたまま大人になるってなんて素敵なんだろう!!と感じさせるこの全てのものたち。

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写真4

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写真5

どんな時にも使えて主張の少ない意匠が好まれる日本で、たまには自分ローカルな個性を主張するものを身につけて街を歩いてはどうでしょう! そんな気持ちにさせてくれた久しぶりの出会いだったコート。 大人が楽しむファッションウォッチにもそんな出会いが必要かな?と思います。 おもいっきり外したり、主張してみるアイテムとして身につけてみたいと思います。 (2020.06.15)


上垣内さん.jpg上垣内 泰輔

商業施設・展示施設の内装・展示物等の製作を行う日本屈指の会社株式会社 丹青社 のデザインセンター所属のプリンシパルクリエイティブディレクター。1988年入社。数々のインテリアデザインを担当。アパレルショップ開発やバーゼルワールドでのパビリオンデザインを手掛ける。ドイツADAM賞など、数多くのアワードを受賞し、現在ではリテール、ホスピタリティ、エキシビジョン、オフィスなど、様々な分野にて横断的にディレクションを行っている。